2024年5月10日金曜日

古巣のスタジオ(3度目)

 この4月から、アニメーション制作会社に席(籍)を置くことになった。

代表者(会長)の肝入りで新人アニメーター(動画研修)の教育係だ。


前任者が居た様だが、一切合切の設定を覆して良いと云う事らしい。

よくある新人動画マンの研修用の課題集、内容が新人研修向けではない。

ベテラン原画マンの紙作業をデジタル化するのは問題ないのだが、

丁寧な作監修正が添付られていないので、雑だったり、つじつまが合わない部分が有ったりして「新人動画研修」用にその都度不具合の説明が必要になる。

作画作業に不具合は付き物だが、新人動画研修中は覚えて欲しくない経験だ。

研修期間は2~3ヶ月で、才覚が認められる者は、2ケ月程度で一足飛びにデジタル原画研修も行う予定だ。(もう5月の半ばに差し掛かったが、無理っぽい💦)

デジタル原画研修についてはその旨、上級役員に了解は得ている。


実は社内原画マンで、デジタル作画の実績がある者が居ないのだ。

私が来る前からコンピューターを充てがわれてレイアウトレベルの「練習」はしているようだが、練習そのものの時間が有効に取れない様で、何もしていない状態らしい。

(私の雇用契約に「デジタル原画の研修」も含まれている)

これは、何処のスタジオでも同様で既存の紙作画から脱却できない障害の一つだ。

「今更デジタルを覚えなくても仕事は出来る」「デジタル不慣れで遅れた分の保証が無い」

ある意味、その人にとっては当たり前の思考だが、アニメーション制作全体を見れば紙作業が介在する事は大きな障害の一つなのだ。(以前、東映アニメーションで既存の紙原画マンにデジタル作画の研修をさせたが一番手こずった案件だ)


新人の時から「デジタル作画」が当たり前の人材を育てるしか、デジタル作画アニメーションの未来は無い。


いや、その「デジタル作画」も過渡期の流れの一部なのかも知れない。


昔、専門学校の主任講師をしていた時の卒業制作のテーマの中にあった「ヘッドギアで思考するだけでアニメーションの絵になる機械」が出てくる作品。

卒業制作で作監補を務めたアニメーターは、現在、押しも押されぬ大作監である。

きっと未来は大した作監も必要ないAI利用の「ヘタウマあにめ」も主流になっているだろう。


このプロジェクト、会長が存命中に成し遂げたいものだ。